「Horses」「Radio Ethiopia」「Easter」「Wave」…
75年デビュー以来、傑作、力作を発表し続けた彼女がフィっとシーンから姿を消したのは79年の事。
絶頂期だったにも拘わらず「やりたい事は全てやり尽くした」とあっさりスターの座を捨て消えてしまった彼女。
それから9年間… 再起までの長い時間をマザー・テレサに傾倒し、二人の子供を産み育て、普通の家庭人として約やかな生活を送っていたそうです。

伝説のバンド「MC-5」のギタリストだった夫に支えられ完成したこのアルバム、70年代のエキセントリックなカルトスターの面影はすっかり消え、優しさに満ちた作品になっています。
やはり「おかあさん」になったパティの心境の変化でしょうか。しかし、優しい音ではあるけど決してヤワにはなっていない所はさすがパティ。

長い沈黙後の復帰…って事で、丁度ジョン・レノンの「ダブル・ファンタジー」を聴いた時の感覚を思い出しました。
表面上、昔のとんがった部分が取れて丸くはなったけど、その内包するパワー、熱気はむしろ以前より熱い…と言った感じでしょうか?
やはりレノンの曲を連想してしまうA-1を聴いただけで、このアルバムが如何にポジティブなパワーに溢れた傑作であるか分かるでしょう。昔の彼女を知っていればこそ伝わって来るA-2,4,B-1の優しさには思わず涙してしまいます。以前の面影を残すA-3,B-2もやはり昔とは違う深みがあります。A-1と並ぶパワフルなロックナンバーB-3も感動的!(この曲が一番好きです〜!)
最後の曲は息子に送る子守唄でしょうか…しつこい様ですけど、やっぱりレノンの「ビューティフル・ボーイ」を思い出しました。
おとうさん、おかあさんになっても熱くロックし続ける事は可能なんですよね

■SIDE-A:1.People Have the Power 2.Going Under 3.Up There Down There 4.Paths That Cross
■SIDE-B:1.Dream of Life 2.Where Duty Calls 3.Looking for You (I Was) 4.Jackson Song